M&A案件では、初期の秘密保持契約(NDA)から、アドバイザリー契約・仲介契約、基本合意書(LOI)、そして最終契約書(株式譲渡契約・事業譲渡契約)まで、1件の成約に至るまでに数多くの契約書類が発生します。これらを従来通り紙で締結・保管していた場合、案件ごとに作成・押印・郵送・保管の工数が積み上がり、各担当者の負担が大きくなりがちです。
とりわけM&A仲介では、1案件あたり多数の相手先とNDAを交わすため、締結スピードがそのまま案件の進行スピードに直結します。紙のやり取りによる数日のロスが、案件全体の機会損失につながりかねません。
一方で、M&A仲介は売り手・買い手双方の経営や財務に関わる、極めて秘匿性の高い情報を扱います。そのため、情報セキュリティとコンプライアンスに関しては他業種と比較しても非常に高い水準が求められます。安全性と法令への適合を満たした上で業務改革を進める必要があり、それが契約業務の見直しを難しくしている要因のひとつです。
大量NDAの迅速締結・高度な秘匿性・案件ごとの契約一元管理など、M&A業界特有の課題への対応方法を確認しましょう。
M&A案件は秘密保持契約(NDA)の締結から始まり、1案件で多数の相手先と交わすケースも珍しくありません。紙での郵送・押印によるタイムロスが案件進行の足かせになります。電子契約なら数分でのオンライン締結が可能です。
売り手・買い手の財務や経営に関わる情報は極めて機微です。アクセス権限の制御や操作ログの記録など、情報漏えいを防ぐ仕組みが不可欠で、利便性と安全性を両立した非対面化が求められます。
NDA・アドバイザリー契約・基本合意書・最終契約書が案件ごと・担当者ごとに分散し、属人管理になりがちです。案件単位で契約を束ねて管理し、更新期限や進捗を可視化することが重要です。
立会人型を採用しており、売り手・買い手の相手先はアカウント登録なしでメールから署名が完結。M&A案件の起点となる多数のNDAを、相手先に手間をかけずスピーディーに締結できます。案件初期の立ち上がりを早めたいM&A仲介と相性の良いサービスです。
弁護士監修によるガバナンス体制が特長で、電子署名法・タイムスタンプ法に準拠。NDAから基本合意書・最終契約書まで法的有効性を担保した運用が可能です。電子帳簿保存法対応(JIIMA認証取得)で案件ごとの法定保存期間の自動管理にも対応します。
世界188ヵ国・25万社以上が導入するグローバル標準。海外の売り手・買い手を含むクロスボーダーM&Aでも、相手先が使い慣れた環境で署名でき、多言語・各国の法令対応にも強みがあります。三菱UFJ銀行の融資契約電子化「Biz SIGN」での採用実績も持ちます。
Salesforceをはじめ1,000以上のシステム連携に対応。M&Aの案件管理(パイプライン)と契約締結フローを一体で運用できます。Docusign IAMではAIが契約データを自動で構造化し、案件横断での一元管理が可能です。
IPアドレス制限・操作ログ・二要素認証など、売り手/買い手の財務・経営情報の漏えい防止に直結する機能を標準搭載。当事者型・立会人型を選択でき、相手先に応じた締結方法を使い分けられます。
立会人型の送信を低コストで利用でき、NDAなど件数の多い書類をコストを抑えて締結できます。電子帳簿保存法(JIIMA認証)対応・API連携にも対応し、案件管理システムへの組み込みも可能です。
契約管理システム・電子契約サービスの導入が、金融機関やM&A業務にどのような変化をもたらしているか。実際の導入事例をもとに紹介します。
三菱UFJ銀行では、企業向け融資契約を印鑑・書面で行っており、印紙代や書類保管コスト、郵送・対面対応の工数が課題でした。非対面・ペーパーレスでのオンライン締結を実現するシステムが求められていました。
企業向け融資契約の電子化サービス「Biz SIGN」にDocusign eSignatureを採用。行員がSalesforceの画面内でエンベロープを作成し、取引先がBiz SIGN上で電子署名を完結できる仕組みを構築。印紙代・保管コストの削減と顧客のオンライン完結による利便性向上を実現しました。
1案件で多数のNDAを交わす一方、アドバイザリー契約・基本合意書・最終契約書は紙・Excelで管理。案件・担当者ごとに情報が分散し、締結状況や更新期限の把握が属人化していました。
契約管理システムの導入により、NDAから最終契約書までを案件単位の管理台帳に集約。アクセス権限の制御で機微情報を保護しつつ、締結状況・期限を横断的に可視化できる環境を整備しました。
取引先との社内稟議を含む契約業務に1週間かかっており、案件スピードの低下とコスト増大が深刻な課題でした。承認の停滞箇所をリアルタイムで把握できず、担当者の問い合わせ対応に工数がかさんでいました。
承認ルートをシステム化し、法務・コンプライアンス・役員の承認進捗をリアルタイムで可視化。停滞の発見と解消を自動化したことで、担当者の問い合わせ工数を大幅に削減しました。
契約管理システムは製品ごとに得意分野が異なるため、機能の多さだけで選ぶのは禁物です。まず自社のボトルネック(NDA締結の遅れ・機微情報の管理不安・案件ごとの期限管理の漏れ)を特定し、M&A仲介では特に次の4点を軸に比較しましょう。①相手先の締結負担の少なさ(登録不要での署名など、多数のNDAを速く交わせるか)、②機微情報を守るセキュリティ水準(アクセス権限・操作ログ・認証)、③案件単位での契約の束ね・検索・期限管理、④案件管理システムや海外案件への対応力。自社の案件特性(国内中心か/クロスボーダーを含むか)に合わせて、納得のいく選択をしましょう。
契約管理の中で、大きく分けると統合管理の不足・煩雑な承認ルート・契約書管理の属人化の3つがボトルネックになることが多くあります。
そこで、代表的な3つのボトルネックが原因で顕在化する課題別に、それぞれおすすめの契約管理システムを紹介します。


